今日も鈴若邸はにぎやか。

「ふざけんなテメー!!」
舞い飛ぶ髑髏。いつもの喧嘩である。

タタミ3畳、ふすま2枚。被害としてはこれで比較的軽い方だ。


(ったくあいつは、どうして俺が嫌がるってわかっててあーいうことをしてくるのか…)
完全にのびている鈴木を放置して自室に戻る死々若丸。
今はまだお昼過ぎ。あいつのことだから夕方までには部屋の修復を終わらせるだろう。
それまで、ここにこもってふて寝でもしていよう。


…すぅ〜。






***







ふ、と、目が覚めた。もう太陽が西に傾きかけていた。
いやーよく寝た。
特に面白い夢を見たわけでもないが、なかなか熟睡できたようで気分がすっきりしていた。

あれ、なんで寝てたんだっけ。

……そうだ、喧嘩してたんだった…。

まぁ、もういいか。と思って居間に戻る。
が、入った途端にむわっと重〜い空気が…


この数時間で部屋は完全に修復されていた。
しかし鈴木本人はさきほどの言い争いをまだ気にしているようだ。死々若丸がやってきても、まだ怒ってると思って目をあわさない。

重 い ‥。

参ったなと思いつつ、特に言葉が見つからなくて死々若丸も黙って座ってしまった。
新聞を読んだり、やたら時計ばかり見たり。気まずい時間が流れる。


日が暮れてしまった。



ようぅやく鈴木が動いた。
少し照れたような、緊張したような顔をして死々若丸の目の前に座る。
「ごめん。」

その神妙な様子にちょっとビビる死々若丸。
「まだ怒ってる?」

「別に。」

これで鈴木の気も晴れて、この重い空気も払拭される…と思ったが、ちょっとぶっきらぼうに言いすぎた。
トーンの低い『別に』は、鈴木にはまだ拗ねているように聞こえてしまって、ちょっと泣きそうになっていた。

「今回は俺が悪かったってば…」
まだ謝ってくる。
「ね。怒んないで。」
だから…
「怒ってないって言ってんだろ!!」



バタン!





しまった、また部屋に舞い戻ってきてしまった。
だって、『怒ってないよ』なんて、どんな風に言ったってあまりにも似合わなくて信じてもらえない。
こっちはとっくに許してるってこと、わかれよ、ばーか!

…こんなときなんて言ったらいいのかわからない。
もっと素直だったら、もっとちゃんとすぐに仲直りできるんだろうか。

ごめんねの後の言葉。
知るか、そんなもん!



***



しばらくして部屋がノックされた。

「ししわか〜、おなか減ったろ?なんか美味しいもん食おうぜ。そうだ、寿司とろう!な?」
ちょっと怯えてる鈴木の声。

なんでそんな声出すんだよ。寿司?なんでそんな豪勢なこと。
アイツ、ぜんっぜんわかってない。

ドアを開けて鈴木の前に姿を現す死々若丸。

「なんでそんなご機嫌とりをするんだ。」
明らかに眉間にしわがよっているまま迫られる。
「だって死々若が怒って…」
怒ってないって言ってるだろ
語調が強くなる。
「ホラ、怒…」
怒ってないのにお前が怒ってるって言うから俺は怒って…ん?」
自分でも言ってることがワケわかんなくなって死々若丸は戸惑う。

鈴木はやーーっとわかったらしい。
「つまり、昼間のことはもう許してくれてると。」
こくりとうなづく死々若丸。

はぁ〜〜っと 安心した鈴木はその場に崩れた。
「おい、大丈夫か?」
と死々若丸が差し出した手を鈴木はすっごく幸せそうな顔で握り締めた。

「よし!飯にしよう。特上寿司!yeah!」
立ち上がるといつもの調子に戻った鈴木。

「ちょっと待て、思い出したら腹立ってきた。」
「え?」
お前の分のウニとイクラとトロとエビをよこせ。そしたら全部許してやる。」

「ま、マジっすか」
「早くしろ。俺は腹が減った。」


一難去ってまた一難?
だけど、やっぱりこういうのがいいなー、なんて思う二人。


あぁ、なんか久しぶりにちゃんとヘタレ鈴木×わがまま若って感じ…!?
相変わらず突発的で推敲足りてない文章で。タスケテ。