目を開けたら大きな桜の木の下にいた。
鈴木が幹にもたれて本を読んでいる。俺はその膝を枕代わりにして横になっていた。立ちあがろうとしたら頭に鈍い痛みがして、立ち上がることが出来なかった。
「お、目が覚めたか?お前、幽助達に潰されたんだぞ。大丈夫か?」
「…頭‥痛い…」
「このまま横になってた方がいい。ここは風が吹き抜けているから気分が良くなるだろう」
 死々若丸は素直に頷いて、すぐに寝息を立て始める。鈴木も本の続きを読み始めた。
「綺麗だな…」
眠ったと思っていた死々若がふいに呟いて、正直驚いた。
「ん?」
「桜だ」
「ああ、綺麗だな。死々若の紅い瞳によく合っている」
「…阿呆が」
風が吹く度に舞う薄紅色の花びらが死々若丸の髪や着物に沢山のっていた。 取ってやろうと思ったが、和服によく合っていたので躊躇った。髪に付いたヤツだけは邪魔だろうから取ってやる。
「…に‥えむ‥」
「何だ?聞こえなかった、もう一度言ってくれるか?
「もう言わん」
まだ酔っているのか死々若丸はまるで猫が甘えるように鈴木にすり寄る。
「口づけをしてくれるなら言ってやる」
鈴木はポーカーフェイスは崩さず、黙って額にキスをする。が、内心はかなり取り乱していた。死々若丸が自分からキスをねだるなど一年に一度あるかないかだろう。
「貴女に微笑む。桜の花言葉だ、書物で読んだ」
「微笑む、か。…真面目な話、死々若は何時までわたしに微笑んでくれる?」
そして、何時まで俺の側にいてくれるのだろう。俺に花のような微笑みを向けて…。
「わたしはお前を愛しているよ…だからこそ死々若丸が離れていってしまうのが怖い」
「…そうか」
「残りの命。いつ終わるか分からないけどな、お前の心が欲しい。永遠に死々若の心を自分だけのモノにしたい」
「ふっ。貴様がそんなに独占欲が強かったとは知らなかったな」

そう、俺は独占欲が強いんだ。 死々若丸が他の奴らと話す度に、他の奴らに花のような笑顔を見せる度に相手を殺したいと思った。そして、お前を閉じ込めたいと…鎖を付け、縛め、俺だけのモノに出来たら…死々若丸の世界が俺だけだったら…暗闇の中、五感を奪われて泣き叫ぶ姿を見たい。俺に向かって助けてくれと、許してくれと乞う姿を見たい。お前を抱きながら壊したいと思う。お前を美しいまま、心だけ狂わせてしまえば誰にもお前を見せなくてすむんだ…。欲望のまま、行動に移してしまいそうになる自分を何度叱咤したことだろう。あぁ、お前が悪いんだ。…俺を追いつめたのはお前だよ、死々若丸… 

そんなことを考えていたら、死々若丸が頬を桜色に染めながら呟いた。
「…鈴木…一度しか言わんぞ…」
死々若丸が鈴木の膝から頭を上げて、立膝をすると鈴木の顔をのぞき込む。
鈴木の瞳に死々若丸の瞳が映る。無意識のうちに鈴木の形よい手が死々若丸の頬に触れていた。
「俺は鈴木と言う妖怪に拾われた恩を感じている」
わたしに黙って抱かれているのも恩を返す為なのだろうか…
一瞬、そんな不安が頭をよぎった。
「だが、それ以上に俺は鈴木を愛している。これでは不満か?」
不安そうな死々若丸の顔を見て、鈴木はプッと吹き出してしまった。
そのまま笑い転げる鈴木を死々若丸が快く思うはずがない。案の定、見る見るうちに不機嫌そうな顔になる。
「何が可笑しいっ!」
「いやっ、可笑しいわけではないよ!ただね…」
不安そうな顔が愛しいのだよ、と続くはずの言葉が途中で途切れる。
「なんだ!?」
「いや!わたしも愛しているよ、死々若…誰よりも…」
ふんっと、照れたように顔を背けると再び鈴木の膝に頭を置いた。
風が、桜の花弁を吹き飛ばす。

「結局…お前の微笑みは、わたしのモノだったみたいだ」
今はこれで満足しよう。
「わたしの杞憂だったか…」
死々若丸の蒼い髪がサラサラと風になびく。
「貴女に微笑む、か。…わたしは欲しているよ…」
―――――――― お前の微笑みを ――――――――


もうラヴい!!の一言につきます(>_<)
鈴木さんがめっちゃ攻ですよ!!!これぞ正しく鈴若ですね(//∇//)千の姿と技を持つ鈴木さんの新たな一面を発見☆ですね!
そんでもって若さんがさりげ誘いまくってます!ビバ 酒の勢い!!
もう、激しくときめいてマジで鼻血ヴーしました(阿呆)
炎舞さん、ご友人Rさん、素敵な卒業祝い、本当にありがとうございました!!