ここは人間界、季節は冬。平和に暮らす六人衆だが…。

「おにわーそーとー!」
バラバラバラ

コタツにもぐっていた死々若丸にいきなり撒かれたのは、豆。

「貴様…なんのつもりだ!!」
途端、角が出て陣に殴りかかる死々若丸。
「あ、ホラ、鬼。」
「阿呆かっ!」
「はいはい、どうどう」
なんとか鈴木がその場をおさえる。

「で、陣は何がしたかったんだ?」
「だってほら、今日はセツプンだべ?」
「節分な。」

そう、今日は二月三日。人間界は日本でいうとこの節分である。

「なんか間違ってただか?」
「いや、微妙…。」

六遊怪の二人はこっちで暮らしてもう長いらしいし、裏御伽である死々若丸ももちろんのこと、(ああ見えて)博識な鈴木。みんな人間界の文化・風習はそれなりに理解していた。
しかし、魔界の闇の中で生き続けていた魔忍の二人だけはイマイチ疎い部分があった。

「節分ってどーやるだ?教えてけろ!」


というわけで、六人衆de節分大会が実施されることとなった。

「つまりアレだ、豆を撒きながら鬼を追いかけるんだよ。ハイ。」
と、鈴木は死々若丸と陣に鬼のお面を差し出す。
なぜこの人選か。それはもちろん
「角があるから…?」
そう。
「ハマリ役だろ。」
「ハマリ役だな。」
豆まき実施を聞きつけて集合した酎・鈴駒に凍矢と陣までもが一緒になってうなづいた。
面倒くさ…とうなだれながら、子鬼に変身して陣の頭に乗る。(楽したいらしい)

そんな死々若丸とは対照的にはりきる陣。
「よっしゃ〜逃げるだぞ〜!…で、オレらはどうやったら勝ちになるだ?」
「勝ち負けじゃなくて、鬼はおとなしく豆に追われて出ていけばいいんだよ。」
「え?」
と、準備体操していた陣の動きが止まる。

「だって鬼が黙ってやられるわけ無えべ。」
「そういう伝統行事なんだよ。鬼は豆が苦手だから…」
「オレ豆平気だっちゃ」
「それはそうだが…!」

鬼役がなにやらもめているのをみて他の皆も集まってきた。
「どしたのさ?」
「ほら早く、豆撒かねぇと一年の災厄が払えねーぞ。」
だが陣は動かない。

「陣、どこが悪いんだ?」
保護者役・凍矢が顔を覗き込む。陣は拗ねたように、

「だって…豆撒かれたらオレら出てかなきゃなんねんだべ?」

と。


一同はきょとん。


「オレ出てくの嫌だー!」
駄々をこねる陣。


なんかちょっと違う…
が、まぁいいか。
今年の豆まきは諦めよう。陣以外の皆は顔を見合わせてため息を漏らす。


「…安心しろ陣、豆を撒くというのは鈴木が言ったデタラメだ。」
「俺?!」
「そうなのけ?」
救いを求める犬のようにうるうるした瞳で訴える陣。

「そうそう、本当の節分ってのは酒をたらふく飲んで一年の気合を入れる行事なんだぜ!」
「酎、嘘をつくな。」


「よっしゃ、んじゃ太巻きでも作りますか。」
「ふとまき??」
「今年の方角はどこだ?」
「ほーがく??」

そそくさと次の準備をはじめる五人。
「あっ待ってけろ!」


「なぁなぁ、結局セツボンってなんなんだー?」

六人衆が人間界になじむ日はまだ遠いかもしれない…。


大変大ッ変お待たせした上に時期はずれだし短いしで言い訳のしようもございません…(滅)
いったいどれが誰の台詞やら…(いつもだ)右脳で読んでください、すみません。(無責任)
陣がただの阿呆になりさがってますが、文中にあるとおり魔忍が一番人間界の事わかってないと思いませんか?だから武術会でもあんなスポンサーに付かれて…(涙)
えーと、まぁとにかくそんなんですが、よろしかったらお受け取りください!!