チリーン…
江戸切子の風鈴が1/fのゆらぎで涼を奏でる夏の昼下がり
ちび若は蚊取り線香の隣で、ハンドタオルをお布団にお昼寝中。
団扇を片手に縁側に座って、煙たくはないだろうか、万が一火が移ったりはしないだろうかと気にして時折そちらを振り返る。
遠くに聞こえる蝉の声
今日も暑い。
額から頬に汗がつたって、シャツの胸を一滴ぬらす。団扇の風を「強」に切り替えて目をつぶる。
人間界の夏は暑いが、幸いここには"涼"を楽しむ余裕がある。
外からまた風が入り、チリンと風鈴がゆれる。汗ばんだ肌に心地よい。
蚊取り線香の灰がぽたりといびつな渦を描く。
またひとつ もうひとつ、落ちてはもうひと巻き。
「ぐっすり眠ってら…」
かすかににじむ汗をそのお布団で拭いてやる。
「ん…」
微かな反応につい笑みがこぼれる。
そろそろ冷たいおやつの準備でもするか。
スイカとアイス、今日はどっちがいいかなぁなんて思いながら立ち上がる。
夏の情緒。
渦を、イラストに盛り込むことは既によくしているが、小説でやったらどんな感じだろうと思って。
蚊取り線香は見ていて飽きない で す よ ね !
そしてこの晩 鈴木さんは、またそうめんかよと若に怒られる。